ニコンAF-S 28-300mm F3.5-5.6G VRは必ずしも納得のいく性能ではない

Photozoneに、ニコンAF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6G ED VRのフルサイズ機(D3X)でのレビューが掲載されています。

Nikkor AF-S 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR (FX) - Review / Test Report

  • 鏡筒はしっかりとしているが、主にポリカーボネートでできている。コンシューマー用レンズとしては極めてよい造りだが、ニコンのプロ用レンズよりも多少劣っている。鏡筒はめいっぱい繰り出してもガタつきはない。ズームの自重落下も見られない。
  • ズームリングはスムーズで適度な重さがあるが、フォーカスリングは少しがさつに感じる。残念なことにフォーカスリングには、回転の方向を変えたときに若干の遊びがあり、精密なピント合わせでは気になるかもしれない。加えてフォーカスリングは極めて細く回転角が小さいので、MFはそれほど快適ではない。
  • 高倍率ズームでは大きな歪曲が予想されるが、このレンズも歪曲は非常に高いレベルだ。広角端では極めて大きなタル型(-4.48%)で、50mmでは糸巻き型が顕著(1.84%)になる。100mmでは2.51%の糸巻き型で多くの被写体でとても気になる。それ以上の焦点距離では歪曲は小さくなるが、それでも高いレベルのままだ。よいニュースは、歪曲の形が整っていることで、後処理で容易に補整することができる。
  • 周辺光量落ちはワイド端開放では非常に高いレベル(1.91EV)だが、絞れば低いレベルになり、ほとんどの被写体で目立たなくなる。他の焦点距離でも開放ではいくらか目立つが、1段絞れば、特に周辺光量落ちが目立つ被写体を除けば問題は解消する。
  • 中央はとても良好な解像力で、28mmでは少し絞れば最高レベル(excellent)に達するが、望遠側に行くに従って解像力が低くなる傾向がある。中央は開放ではズームの両端は若干甘い。周辺部と四隅は別で、焦点距離によっては絞れば良好な解像力(good)になるが、総合的には解像力はおおむねかなり低い。
  • 倍率色収差は、ほとんどの焦点距離、ほとんどの絞り値でかなり高いレベルだが、倍率色収差は容易に補整でき、ニコンの最近のほとんどのデジタル一眼ではカメラ内で補整される。
  • このタイプのレンズでは多くの妥協があるが、残念ながら、ニコンの28-300VRでもこれは真実だ。歪曲は非常に大きく、周辺光量落ちや色収差も大きい。中央の解像力は良好だが、素晴らしい値ではなく、ズーム両端と周辺部・四隅では多くの焦点距離・絞り値でかなり甘い。従って光学的には、必ずしも納得のいくものではない。しかし機械的な部分では大きな不満はなく、造りは良好だ。AFは少し遅いがほとんど無音。結局は光学性能と利便性のバランスの問題だ。DXでも使うなら18-200VRのほうがいいだろう。

 

光学性能の評価は5点満点で1.5~2点とやや厳しい評価になっています。このレンズは、ePHOTOzineNikon RumorsなどのD700でのレビューではかなり高い評価でしたが、この記事やLensTipのD3Xでのレビューでは少々辛口な評価になっているようです。

確かに、MTFのグラフを見ると周辺部は甘く、D3Xでは少し解像力が不足ぎみかもしれません。とはいえ、利便性重視の高倍率ズームなので、高画素のフルサイズ機でこれだけ写れば必要十分かもしれませんね。